令和の日に入院した母の旅立ちから今日まで

令和元年5月1日に母が独居から緊急入院。令和5年6月20日に安らかな顔立ちで旅立ちました。コロナ前の施設探し、生活保護申請、コロナ禍での入居生活で感じたこと、反省点をこれからも大切な人を支え続ける人の参考になればと思いブログを続けてます

母の施設訪問時のやることリスト

母が施設に入居してから、毎月1回ぐらいの頻度で母の施設を遠方から訪問していました。毎月一回程度なのでやり残しがないよう、忘れ物をしないよう下記リストを毎月作成して使っていました。

●移動時の持ち物(自分用)

化粧品類(容量確認)、マスク、日焼け止め、パソコン、タブレット
 
●施設でやること

郵便物の確認(事務所)
開封済みの飲料を棚に放置していないか確認(認知症が進むとこういう症状がある)
クーラー、照明、テレビのリモコンを充電
クーラーのフィルタ―洗う(毎回)
はさみの汚れを確認(汚物がついてないか)
バインダーに綴じてるサービス報告書を持って帰る
母の服、ねまき、車いす座布団、手拭き、室内スリッパの洗濯
ベットの防水シーツを洗う
カーテンを洗う(適宜)

母の髭をそる

ゴミ袋の入れ替え(45Lの半透明袋)
床をウェッティで清掃
衣服、タオル類の名前シールが剥がれてないかを確認
おむつ、ウェッティ、ゴミ袋、トイレットぺ―パ、洗濯洗剤、トイレ洗剤の残量確認
冷蔵庫に食べ物が残ってないか確認
在庫の写真を撮る


最後の「在庫写真」は大切でした。
母やヘルパーさんに聞いてもあいまいなので、自分が帰る前に部屋の様子を細かく写真に撮ってました。こうすることで次回訪問時の参考にもなります。
また、消耗品類は残量がすぐに分かるようカメラから見える位置に配置してました(オムツ類は机の下、ジュース類、雑貨は棚の中に集約してカメラで監視)。

特にコロナ禍では訪問時間が限られていたので時間との勝負でした。

母が安らかな顔立ちで旅立ちました。

令和5年6月20日午後9時17分 母は安らかな顔立ちで旅立ちました。

主治医から特別面会の連絡が来て病院へ行ったその日の晩でした。

これまで3回、特別面会の連絡はありましたが、私が行く度に持ち直したので主治医もびっくりしていました。さすがに今回は難しいかもと言われていたので覚悟はしていました。毎回、母が大好きなテレサテンの曲をスマホで耳元で聞かせてあげると酸素マスクの下で口ずさんだり、手を動かしたりしたのが印象に残っています。

延命治療はしないという母の遺言通り、病院には本人の負担が最小限になる治療方針で最後まで進めてもらったので本人的には安らかに旅立ったことと信じています。

耳は心停止するまで聞こえている。
これまでの感謝、思い出を最後の最後まで、初めて言葉にすることもたくさん母の耳元で伝えました。これまでは励ます言葉しか言わなかったけど、最後に送り出すことを伝えたら安心したのか、最後にコクっとなって、うなずいて? 旅立ちました。

94年の母の人生を支えてくれた施設のヘルパーと看護師さん、ケアマネさん、リハビリの先生、訪問診療の先生、看取ってくれた病院の先生と看護師さんすべての方に母に代わって心から感謝申し上げます。

このブログは母との記録のほか、これから大切な人を支え続ける人たちに少しでも役立つ経験談を記したいのでつづけます。

主治医の専門は確認すべし

 施設に入居しても主治医の選任は大事です。介護認定を受けるとき、更新するときも主治医の意見が求められますし、日ごろの在宅医療、訪問看護でもお世話になります。母は若いころの無理がたたって長く腰痛、膝痛に悩まされていたので、施設に入居するときに整形外科も必須だと思ってケアマネに近くの整形外科の相談をしましたが、 

 そんなの必要ですか?

みたいな顔で、けんもほろろに流されました。

結局はネットで探して定期の訪問診療をお願いしました。

後でわかったのは、ほとんどの施設には提携している医療機関があるので主治医もそこを使うのが前提なこと。しかしその中に整形外科が診療科目に入っていることは珍しいです。高齢者には関節痛、歩行障害は当然なことなのに、なぜかその対応が前提にありません。というか無視してる?
理学療法士がリハビリを行うサービスもありますが、医者ではないので根本的な治療は期待できません。

 幸いにも、とても親身な整形外科先生の診療で90代の母は身の回りの事を何でも自分でこなせていました。内科は言わずとも重要ですが、整形外科も同じぐらい大事なことだと思います。

思い切った引越のすすめ

 ブロ友さんの記事に書かれていた「高齢者にとって大切なのは人との接触」は、本当にその通りだと思います。私の母は明るく社交的で、人との繋がりが何よりも楽しく思える人でした。コロナに感染はしなかったものの、人とのふれあいを断たれたことで徐々に母の健康が蝕まれました。

 コロナ禍、施設の運営方針により母の様子がよくない方向へすすんで行くの見て何度も施設を変えようとは思いました。しかしこの非常時に受け入れ施設を探し、その手続きや移動に遠距離からどのように対応しようか悩んでいるうちに今に至ってしまいました。

 入居していた施設がすべて悪いわけではありませんが、どの施設も平常時での対応を前提にしているので、非常事態(コロナ禍だけでなく、本人の身体的、精神的な変化(悪化)も含め)が起こったときは俯瞰的に、対応できる施設へ早急に引っ越しを検討することをお勧めします。

 例えば、床ずれ(褥瘡)が起こりはじめているときはすでに身体の栄養状態がかなり悪い状況です。最初見た目は赤くなる程度ですが、その内あっという間に悪化して感染症を起こし命にかかわります。加えて、食事を全量食べているからと安心してもダメです。母の場合、食べても酵素でうまく分解できなくて栄養として吸収されずそのまま便として排出されてました。これは病院で精密検査して分かったことです。健常者と違って認知症が入ると本人からの訴えも少ないのに、こういった初期段階を見過ごす施設、医療連携をうまくできない施設では絶対に回復しません。

 健常者の1日は80、90台の高齢者にとっては数十分の感覚です。昨日まで元気なのが今日はどうして。毎日が勝負なのです。

ケアマネージャーは誰の味方か

 母が入居していたサ高住は、デイサービスが併設している大きな施設でした。デイサービスが付属しているので一カ所で完結して便利だと思い決めました。しかし本当にそれが最善だったのか、いまは疑問に感じます。

 母と施設サービスをつなぐもの、介護支援専門員(ケアマネージャー)は要介護者などの相談にのったり、訪問介護・デイサービスなどを受けられるようにケアプランの作成と施設等との連絡調整を行う人です。本来は介護サービス利用者と介護事業者の間に立つ中立的な存在です。昨今は雇用されている自社の系列サービスを利用することを前提にケアプランを作成したり、必要以上のサービスを含むケアプランを作成して介護報酬の最大化を狙うことが問題になっています。母の施設も結果として同様でした。

 ケアマネージャー自身に問題があるというより、雇用関係で物を言えない状況に置かれている立場である以上、「施設側のケアマネージャー」を利用するときは注意してください。

母の(遠距離)介護で役立った見守り機器

 母の体調は小康状態が続いていますが予断を許さない状況。入院後に2回ほど特別面会として呼び出されましたが、私が病院に行くとその都度乗り越えました。さすがというか、何とも言えない母の生命力を感じています。

 最初の2年は普通の生活で、残り2年はコロナ禍で役立ったものをまとめました。

①スマカメ2(LTE対応のP2Pカメラ

スマカメ2 LTE|CS-QS50-LTE

一番の特徴はインターネット環境がなくてもLTE(4G)通信で部屋の様子を見られることです。一般的な介護施設では部屋にネット環境が引かれていないので、とにかく最初に設置した見守りカメラです。格安SIMのNuroMobileを使っていました。赤外線対応なので消灯後の夜も部屋の様子が分かります。スマホ、パソコンでリアルタイムに見れます。欠点としてP2P接続なので接続までに時間がかかること、アプリの調子によってはうまく接続できないことがありましたがとても役立ちました。

WiMax Home02(ホームルーター

WiMAX HOME 02│UQ WiMAX(wifi/ルーター)【公式】

1年近くはスマカメ2だけで頑張ってましたが、遠距離介護で月に1度ぐらいしか訪問できなかったので部屋の様子をもう少し詳しく、物品の在庫確認、死角がないようにしたかったので無線ホームルーターを設置しました。通信容量が一気に増えたので追加でバッファローのネットワークカメラを追加しました。部屋の湿度、気温も分かるすぐれものでしたがアプリ接続が不安定で使用感は微妙でした。

③nature remo3(スマートリモコン)

Nature Remo 3 - Nature

これはみなさんに、特に遠距離介護の場合はぜひ使ってもらいたいと思います。スマートリモコンとは家電や照明などのリモコン機能をスマホAIスピーカーに集約できる機器のことです。スマホから登録したテレビ、エアコン、照明などの操作が可能になります。スマホのアプリから赤外線対応の機器をオンオフすることができます。高齢になると脱水の自覚がないことで熱中症の危険が高まります。部屋の温度、湿度なども細かく監視できるので日々チェックしてエアコンを操作していました。夜のテレビ、照明の消し忘れもカメラで確認して操作していました。ただ注意してほしいのは、実際の部屋での本人の体調を正確に知ることはできないので、あくまでも目安として使ってください。

④Echo Show 10 (エコーショー10) (スマートディスプレイ

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これも強くお勧めします。コロナ禍で母の認知症が進み、携帯の操作も難しくなってきたころにアマゾンのアレクサを施設に1台、私の家に1台設置しました。一番の特徴はビデオ通話が一方的にできることです(相手方のプライバシー設定がオフの場合)。「アレクサ、●●を呼び掛けて」と伝えると私のアレクサが母のアレクサに自動接続してビデオ通話が始まります。ほかの機器ではどうしても「もう一歩の動作」が必要になりますがアレクサは受手の動作を必要としません。これは見守り側にはとても大きなメリットです。アクションというマクロを設定すれば一定時刻にメッセージを流す、音楽をかけることができます。ごはんの時間、おふろの日、おやつの時間、水分補給の呼びかけ、伝えたいことを毎日代わりにしてくれます。施設のヘルパーさんに直接伝えたい時も便利です。

⑤Ring Indoor Cam (リング インドアカム)

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アマゾンエコーと接続できるので便利だと思い最後に追加したネットワークカメラです。小さく軽くどこにでも設置できます。高機能でつかいこなせなかったですが撮影画像をクラウドに保存できるなど便利でした。

⑥+Style ホームカメラ(フレキシブルアームカメラ)

【+Style】ホームカメラ(フレキシブルアーム)PS-CMR-W02 - +Styleショッピング

特徴として巻き付け型のカメラ。場所を選ばないが逆に設置が不安定になることもあります。施設ではクーラーの上に設置しました。風景になじんで施設側はだれも気づきませんでした(それだけ日頃から部屋の様子を見ていない)。これにも温度センサーなどがあるので部屋の高い箇所での気温、湿度の計測に役立ちました。

介護施設を選ぶときの注意点

 母の場合はサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)でしたが、施設を選ぶときの参考としてまとめました。

①大きい施設(部屋数)が多いほど一人にかけられる時間が少ない。

部屋数が多いから職員数が比例して充実することはないです。どこの施設もギリギリの数で回しているし、介護保険の点数で賄えるサービス時間は決められているので必然的に一人当たりの時間が少なくなります。例えば、掃除は部屋に置いてあるものを使って掃除することになっていても面倒な、時間のかかる作業は省かれ表面的にしかしてくれませんでした。

②職員の顔ぶれはサービスレベルに直結する

離職率が高い介護業界であっても、母の施設は本当によく顔ぶれが変わりました。丁寧で親切なスタッフはすぐにいなくなり微妙なレベルの人だけが残るという感じ。日々同じ作業であるにもかかわらずサービスレベルが一定しないのは、スタッフが育って定着する前にいなくなり、また新人が入ってふりだしスタート。結局は経験不十分のスタッフしかいない状況です。インターネット等で常に職員の求人を出している施設は要注意です。

③施設内の清掃具合、清潔度をチェックする

例えば、コインランドリー機器のフィルタ―清掃、共用トイレの清掃が不十分なところはスタッフに余裕がない証拠です。母の施設では壁に穴があるところがたくさんありました。表面だけ取り繕っている所は絶対に避けましょう。